九谷焼の器に旬の盛り付けが目にもあでやか。北陸の海の幸が売りの外食チェーン「金沢まいもん寿司」を展開するエムアンドケイが新会社を設立し、瀬戸内の幸と金沢の食文化を融合させた新しいタイプのすし店を宮島口に4月オープンした。原田直幸店長は、
「金沢直送の白エビや瀬戸内のタイなどネタのうまさが引き立つようシャリに広島の老舗の赤酢を使い、しょう油なしでも堪能していただけます」
オリーブオイルやバーニャカウダソースを添えるなど、和とイタリアンの融合も斬新で、グルメの舌を喜ばせる。ソムリエ資格もあり、
「すしに合うワインもお任せ。和食の枠にとらわれず、地元の生産者が作る、知られていない食材も料理を通じて発信したい」
コースのみ昼3300円、夜8800円。宮島が望める風光明媚な店内で、ゆったりと流れる時間が日常を忘れさせる。
当社の納涼会は毎年ラグジュアリーフロアでのカープ観戦です。家族も呼んで一緒に大きな声で応援しています。残業中もネットニュースの1球速報を横目に仕事をしながら、カープのチャンスだけはTVを見に行く社員もいるなど、職場に溶け込んでいますね。つい先日も施主や施工会社などお取引先と観戦へ。カープを一緒に応援するだけで、自然と一体感が生まれます。野球などスポーツ観戦は好きなのですが、観戦勝率が低いのが悩み。中村奨成選手が出場した全国高校野球の決勝戦も甲子園に駆け付けましたが、広陵高校の夏の選手権大会初優勝をこの目で見ることはかないませんでした。修道高校から大学に進学し、東京で生活すると、ジャイアンツや野球の話はほとんど耳にしませんでした。カープがある日常を知る身としては信じられなかったですね。進学などで離れると余計に愛着がわくのも広島県民ならではだと思います。
5月6日付で、本社を大手町3−8−24の6階建てビルに移転。築35年超の物件をフルリノベーションし、1〜3階に吹抜やフロアをつなぐ「アクティブステップ」(オープン階段)を設けました。ノートPCを片手に自分で働く場所を選び、移動の際に目に触れたものや、ふとした出会いから生まれた交流で新たなひらめきを期待しています。本社移転に際して、コチョウランなどたくさんのお祝いの品をいただき、改めて多くの方に支えられて当社が成り立っていると実感しました。感謝してもしきれません。カープも広島県民みんなが支えているので、ここからぜひ巻き返してもらいたいですね。
市場拡大が当たり前だった時代から、人口減による市場縮小へ移り、新たな成長戦略が求められている。大きく潮目が変わり、かじを取る船長にとって腕の見せどころ。しかし乗組員がそっぽを向いてしまえば、たちまち荒波に翻弄(ほんろう)されてしまう。
国内全家電メーカーを扱う広陽家電販売(中区舟入幸町)は大手量販店や家電店など全国の取引先約1500店に卸す。日高寛彰社長(52)は、
「かつての成功体験が危機を招く。いまの時代に対応できる人をつくり、育てることが先決ではないか。上司を見て働くのではなく、市場動向や取引先、現場の情報をいち早くつかみ、分析し、営業戦略を立てる。自ら考え、動くことができる環境、つまり権限と責任を持たせることが何より大切と考えた」
素早く動いた。2019年9月に分社化に踏み切り、持ち株会社ソシオグループを設立。日高社長のほか、役員3人を事業会社4社の代表取締役社長に起用する予定。たちまち効果を発揮した。20年度グループ売り上げは、広陽家電ほか、ソフトバンク代理店事業「Crear」、家電製品企画開発の「デバイスタイル」(東京)、自社ブランド家電製品販売の「デバイスタイルマーケティング」(同)合わせて前年比17%増の34億円、経常利益は過去最高の1億5000万円突破を見込む。グループ従業員数は40人強。今期は売り上げ40億円、経常利益1億円以上を計画。自ら考えて結果に責任を持つ。日々の言動が変わった。小さな事でも、ないがしろにすることがなくなった。
給与の評価基準も抜本的に改正。まず幹部から年間目標や課題に合わせた「年棒制」を導入し、翌年に課長クラス以上にも採用した。役員報酬には担当の事業会社の実績5割、グループ全体の実績5割を反映し、算出。そして日高社長と面談の上、最終的に年俸額を決める。事業会社の社長は親会社ソシオグループの株を保有し役員も兼務。全社の情報を共有しながら、相互に経営に関わる体制を明確に打ち出した。
二つの経営軸を決めた。グループ全体の「純資産」を増やす。そして各自が「誇れる決断」をする。このシンプルな判断基準を定めたことで、人に依存し、人に物事を考えてもらう〝お伺い〟や、失敗したときの言い訳などがなくなり、失敗をとがめる人もいなくなった。非常に厳しい環境になり、失敗したら改善策を講じるほか、道はない。創造的に意見を語り合う。否定的な意見が出なくなった。互いに肯定的に捉える関係性が生まれた。
シンプルな二つの軸が新しい考え方や行動を促し、持ち株会社制の根幹を成すようになったという。より高い意識を持つことで、能力もより高まるという証しではなかろうか。今後は戦略的なM&A(企業の買収・合併)に乗り出すほか、65歳以上の人が集まり経営、元気で働く事業会社の構想も温めている。
日高社長は大学卒業後、3年間ほど電力会社関連の設備メーカーに勤める。先輩らがフル稼働できるよう朝6時に出社し事務所を掃除。持ち前の、相手の立場になって考える能力が磨かれた。新しい経営体制は、自らの体験に裏打ちされているのだろう。